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スカイスクレイパーが「ゆっくり倒れる」日:長周期地震動の脅威と、高層ビル勤務者が今すぐ取るべき行動

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スカイスクレイパーが「ゆっくり倒れる」日:長周期地震動の脅威と、高層ビル勤務者が今すぐ取るべき行動

Photo: high rise skyscraper earthquake safety architecture engineering, via images.pexels.com

「大きく、ゆっくり」揺れる——長周期地震動とは何か

通常、地震の揺れといえば激しい短い振動をイメージする人が多い。しかし、大規模地震が発生したとき、震源から遠く離れた場所でも「低周波数の波」が地盤を伝わり、特定の構造物を長時間にわたって大きく揺らし続けることがある。これが「長周期地震動(Long-Period Ground Motion)」と呼ばれる現象だ。

周期とは、揺れが1往復するのにかかる時間を指す。一般的な地震動の卓越周期は0.1〜1秒程度だが、長周期地震動は2〜20秒という長い周期を持つ。高層ビルは構造上、この長い周期の揺れと「共振」しやすい特性を持っている。建物の固有周期と地震動の周期が一致したとき、揺れは増幅され、制振設計がなければ内部の破壊は深刻なものとなる。

ロサンゼルス・シアトル・サンフランシスコなど、西海岸の大都市には数十階から100階超の高層ビルが林立している。これらの建物の多くは1970〜1990年代に建設されたもので、長周期地震動に対する現代的な基準を満たしていないケースも存在する。

日本が経験した「揺れる超高層ビル」の現実

2011年3月11日の東日本大震災では、震源から約750キロメートル離れた大阪市内の超高層ビルが激しく揺れ、上層階では家具が転倒し、エレベーターが長時間停止した。震度は大阪で2〜3程度にとどまったにもかかわらず、一部のビルでは10分以上にわたって揺れが継続したと報告されている。

この経験を受けて、日本の国土交通省は2011年以降、超高層建築物(高さ60メートル超)に対する長周期地震動への耐性基準を大幅に強化した。新たな基準では、南海トラフ巨大地震クラスを想定した長周期地震動に対して、構造安全性と人命安全性の両立を義務付けている。

構造設計の専門家として東京と米国西海岸の両方でプロジェクトに携わってきたある建築エンジニアは次のように語る。「日本では2011年以降、既存の超高層ビルの耐震改修が進んでいます。特に制振ダンパーの追加設置は効果的で、揺れのエネルギーを熱として吸収・散逸させることで、建物の変形量を劇的に低減できます。米国でも技術的には同じことができますが、規制の強制力と建物オーナーへのインセンティブが日本に比べて弱い」

制振・免震技術:日本が世界をリードする理由

日本の高層建築物に広く採用されている制振・免震技術は、今や世界の建築工学における最先端として認知されている。代表的なものを整理しよう。

粘性系ダンパー(Viscous Damper) 建物の柱や壁の接合部に設置され、地震動のエネルギーを粘性流体の抵抗力によって熱エネルギーに変換する。東京スカイツリーや大阪の超高層マンション群にも採用されている。

TMD(Tuned Mass Damper:同調質量ダンパー) 建物の最上部または中間層に大きな錘(おもり)を吊り下げ、建物の揺れと逆位相で動くことで揺れを打ち消す。ニューヨークのシティコープ・センターやタイペイ101にも採用されており、米国でも技術的には普及しているが、西海岸の高層ビルへの搭載率は日本の主要都市と比較すると低い。

積層ゴム免震(Base Isolation) 建物の基礎部分に積層ゴムと鉛プラグを組み合わせた装置を設置し、地盤の揺れを建物に直接伝えない仕組み。病院や行政施設など、災害時に機能継続が求められる建物に特に有効だ。

USGSの調査によれば、カリフォルニア州内の既存高層ビルの多くは、長周期地震動に対する専用の評価・補強が未実施のままである。州政府レベルでの義務化は現在も議論の途上にある。

高層ビル勤務者が今日から実践すべき「オフィス防災」

ビルの構造的な問題はオーナーや行政が対処すべき課題だが、そこで働く個人にも実践できる備えは数多くある。

1. 自分のフロアの「危険マップ」を作る 高層階ほど長周期地震動の揺れは大きくなる。20階以上のフロアでは、1〜2メートルの水平変位が生じる可能性を前提に考える必要がある。デスク周辺に転倒しやすい棚や重いモニターがないか確認し、可能であれば固定する。ガラスのパーティションや大型窓から離れた場所を「避難ポジション」として日頃から意識しておく。

2. エレベーターに乗っているときの対処を知る 長周期地震動は突然ではなくゆっくり始まることが多い。揺れを感じたら、すべての階のボタンを押して最初に停止した階で降りる。エレベーター内に閉じ込められた場合は、インターホンで救助を要請し、無理にドアをこじ開けようとしない。

3. 非常用持ち出し袋をデスクの引き出しに置く 高層ビルでの被災時は、長時間の避難待機が現実的なシナリオだ。最低でも以下のアイテムをデスク引き出しに常備することを推奨する。

4. 職場の防災計画を「高層ビル仕様」で見直す 多くの企業の避難計画は、低層建築を前提に作られている。高層ビルでは、全員が階段で一斉に地上まで避難することは現実的ではなく、むしろ「避難階(Refuge Floor)」での一時待機が推奨されるケースが多い。自社ビルの避難計画に「長周期地震動」への対応が明記されているかどうか、施設管理担当者に確認することを強く勧める。

日本の教訓をアメリカの職場に持ち込む

日本の企業文化において、防災訓練は年中行事として深く根付いている。9月1日の「防災の日」を中心に、多くの企業が避難訓練・備蓄確認・防災教育を実施する。この文化的背景が、大規模災害時の組織的な対応力を支えている。

米国の職場では、こうした文化はまだ十分に醸成されていない。しかし、特に西海岸の地震リスクの高い都市で高層ビルに勤務する人々にとって、「自分のビルがどんな地震動に対応しているか知る」という行動から始めることは、決して難しいことではない。

建物のオーナーや管理会社に対して、耐震性能評価レポートの開示を求める権利は入居企業にある。そして個人レベルでは、今日デスクの引き出しを開けて、緊急時に必要なものが何一つ入っていないことに気づくことが、最初の一歩となる。

大地震対策ガイドは、技術的な知識と個人の行動を結びつけることが、真の防災力を生むと信じている。摩天楼の窓から街を見下ろすとき、その眼下に広がる活断層の地図を思い描く想像力——それが、命を守る準備の出発点だ。

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